風水とは、何なのかを述べるにあたり、一言で述べるならば「自然科学」だということです。自然科学の定義とは、自然に属する諸対象を取り扱い、その法則性を明らかにする学問のことです。風水では、様々な条件によって織り成される大地、地球を取り巻いている気体である大気、その土地固有の天気など、様々な土地のもつ風土から自然の探求を通じて、法則性を見出そうとした試みが、「歴史・文化・思想」として表現され続け、体系化された学問なのです。
また、風水には、居住「環境」及び、住居を取り巻く、日常のシーンである「景観」が、人間意識にスクリーンのように反映されるものだという心理的側面への研究までを包括しています。
風水に顕著な古代人の「気の世界観」による哲学的洞察は決して虚像ではなく、人間が自然環境の中で生き残っていこうとする試みと共に、山と川、龍と水で象徴された自然原理の中に還元され、人がどのように自然と「調和」して生きて行くかという「時間」と共に変化するサイクルの研究でも有り、環境を根源に復帰させようとする自然回帰としての「還元」方法でもあったわけです。
そして、今この環境が複合汚染された現代において、風水の示す古代人の観念から導き出された気の景観学と、自然に還元することを思想の根底に踏まえた環境思想は、我々が未来から投げ与えられた一つの課題だといっても過言ではないでしょう。
未来へ繋がるために、未来へのヴィジョンをこの現代で示す一つの答えの形が、古代から綿々と続く風水にあると信じております。
そして、それは思想として世に広まる「虚」だけではなく、目に見える「実」として、世に示す事ができれば幸いであります。一つ一つが身近にある実から始まるために、わたくし山道帰一は、現代社会に問いたいと思います。
風水が持つ「気の世界観」を表した表現方法は、「目に映りては形のあるもの(実)となり、心に映りては形のない原理(虚)となる」ということです。
それは、遠い未来でもなく、目に見えない虚像でもなく、一人一人の住宅環境から端を発し、自ら住む地域の環境を考慮し、一人一人が、景観と人間心理、環境と大地の調和を考え始めることからはじまり、実際の行動を通してこそ、実りあるものとして、再び我々が自然への回帰を標榜し、未来に還元できる今が、はじまるのです。
そのために、一人の風水師として風水鑑定によるアドバイザー、環境・景観コーディネーターとして行動を伴い「知行合一」として社会に問いかけて行きたい次第であります。
山道帰一
