擇日講座
● 擇日(たくじつ)とは何か? |
風水にかかわっていると「どうやって縁起のよい日時を選べばよいか?」と、問われることが多いです。風水には「擇日(たくじつ)」と、呼ばれる「日取りの仕方」があり、天文学、暦法と密接なつながりがある学科です。 古代より「擇日」には広義の意味として「人間が行動するに際して、吉祥をもたらし有利となる情報を抽出する」こと。 狭義の意味として「五行・干支・八卦によって干支暦法を形成する」ことの二つの意図があります。 つまり、年・月・日・時の関係から割り出される各種の吉神(きっしん)・凶煞(きょうさつ)となるシンボルを組み合わせて、目的とする「用事」に連なる時間タイミングを選び、未来の成功を勝ち得ようとするのが「黄道吉日」(日柄のよい日)を選択するための学問である「擇日」なのです。 中華の伝統文化において、この「擇日」と定義できるものとして上記の十二種類の技法があります。 ● 通書(つうしょ)とは何か? この中でも日本にも一部分が導入され吉凶を説く「暦注」として馴染んでいる擇日法としては「叢辰法(そうしんほう)」が挙げられます。これは中華圏では「通書擇日」とも呼ばれ、これが本講義で学習する内容となっております。それでは「叢辰法」を用いて割り出される「通書擇日」における「通書」とは何か、一般的には次のように説明されています。 「通書とは、日選びと簡便な占術を中心に生活便利情報ないし百科知識を登載した冊子のことで、暦書黄・暦民暦・日暦などとも呼ばれる。広東(カントン)語圏の広州や香港では、通書の「書(シ)」の音が賭博などに負ける意の「輸(シ)」に通じて縁起が悪いとされて「通勝(トンセン)」という。毎年、年の暮に店頭に並び、翌年一年間の生活指針の役割を果たす、華人社会のベストセラー、ないしロングセラーになっている。」 三浦國雄/通書『玉匣記』初探 この様に「通書」は毎年発行され、一年間分、365日の日々の「擇日」が記載されていることが特徴としてあげられます。「叢辰法」を用いて割り出された「年・月・日・時」の吉凶を掲載し、その吉がどの様な目的や用途に対して吉であるのか、或いは凶であるのかが記載され、日々の行動の縁起を示しています。 新刊『完全定本 暦大全』に完全準拠した本講座に参加して、自分だけの縁起を満載したカレンダー(暦)をつくりましょう! ● 擇日と堪輿(かんよ)(風水)の関係 堪輿(風水)の研究対象とするものは「人和」(人間)に対して「地利」(地理)が与える「人間と空間の因果関係」としての影響についてです。また、擇日の研究対象とするものは、「人和」(人間)に対して「天時」(時間)が与える「人間と時間の因果関係」としての影響についてです。 つまり、堪輿(風水)と擇日を二つ合わせて人への影響をみることにより、「三才」と呼ばれる天・地・人を網羅したより精緻な判断が可能となります。 例えば、上記のイラストのように、陽宅(住宅)・陰宅(お墓)ともに、時間が経過すれば、宅(空間)に住まう人々に吉凶は巡ってきます。そして、「人間(人)・時間(天)・空間(地)の因果関係」が成立するという前提に立てば、よいことは全力で受け止めたいですが、危険なリスクは排除したいと思うのが人の常であり、縁起や験を担ぐが故に暦注、擇日は長い悠久の歴史を経て今も東アジア全体に拡がる生活文化に浸透した縁起観を形成しているのです。 ● 通書擇日小史 擇日と呼ばれる「ある目的・用途に対して、日選びを行う」ことによって縁起を担ぐ概念はどの様に発展したのでしょうか。擇日の歴史は宋代から発達を始め、暦学の名家である洪潮和(こうちょうわ)が清朝の乾隆初年に朝廷の欽天監(きんてんかん)※として出仕した後に隠居して福建泉州に居を定めたことから民間に爆発的な広がりを見せます。 中国において暦法の原型は皇家御用達であり、故に「皇暦」と呼ばれてきましたが、洪潮和は隠居後、自身の暦法を長男の洪彬海(こうはんかい)に伝え、洪潮和著『剋擇講義(こくたくこうぎ)』には、その暦注は諸事における「擇吉避凶(たくきちひきょう)」(吉を選んで凶を避ける)の思想があらわれています。洪潮和による擇日は民間で広く普及し、洪氏の擇日館は「継成堂」と命名され通書が発行され続けました。 現代においても、リチャード・J・スミス著『通書の世界』では次のように述べられています。 「洪潮和の通書のように古くて輝かしい血統を現代に伝えるものもある」のです。 大半の通書の表紙には始祖として「洪潮和」と書かれています。 洪潮和から世代を経て伝えられた暦注は、今日では既に二百多年的の歴史を経て、その伝統的な擇日技法と知識を受け継ぐ家系は「通勝世家」(つうしょうせいか)とも呼ばれ、アジア圏に広く浸透した暦法の一つとなりました。通書的世界は、近世の東アジアの人々の暮らしや世界観と密接につながっていたのです。その普及率は現代においても、東アジアに共通な文化・言語を形成しています。 例えば「台湾では83パーセントの家庭が伝統様式の通書を少なくとも一冊はそなえていることが明らかになった」(『通書の世界』) と、その現代に引き続く普及ぶりが今日でも伺われるのです。また同書の解説において監訳者の三浦國雄氏は、通書の存在意義について『通書の世界』を通じて次のように述べています。 「通書を低俗な消耗品ぐらいに考えている人は、通書が果たした歴史的、社会的役割に蒙を啓かれるはずである」 ※欽天監:①旧中国における官署で、近代の王立ないし国立天文台に相当する。天文現象を観測して暦法を推算する職務を管掌した。②中国で、明・清代に天文観測、暦の製作、時報などをつかさどった役所。(デジタル大辞泉) さて、宋代から派生したと思われがちな擇日ですが、「敦煌遺書」と呼ばれる敦煌莫高窟の一室より、1900年に発見されて以降、中国学研究に多大な影響を与えた5世紀から11世紀にかけての古代文書群(敦煌遺書)の研究が進んだことによって、擇日派生の歴史が大きく遡ることが明らかになりました。 また、欽天監と呼ばれる当時の皇室天文官たちは中国歴代の王朝で、役職名を変えながらも脈々とその業務、歴史、理論は研究され受け継がれてきました。 ● 通書擇日における時の判断 三合派の「叢辰法」である「通書擇日」は「年(根)・月(苗)・日(花)・時(果)」と呼び、この四つの関係から割り出される「時」と「方位」のシンボルである「神煞(しんさつ)」を用いて、それらの関係性を明確にし、影響力を推し量り判断をいたします。 擇日において「どうやって縁起のよい日時を選べばよいか?」と問われれば、「どんな用途・目的で時間を選びたいのか?」を明確にし、その未来につながる因果関係を持った時間を選び出すことが擇日の仕事となります。 通書擇日において万事に宜しい時間は存在しません。その選ぶ日時を何の未来への目的達成、或いは利する効果を狙うのかということで、未来へつながる「用事」(イベント)に、その選んだ日時を設定するわけです。そこで重要となるのが、あるイベントに対しては用いると凶となる「凶神(きょうじん)」と、そのイベントによって未来へつながり成功を収めるための吉祥となる「吉神(きつじん)」を取捨選択しなければいけないわけです。 例えば上記の簡易な表は、「結婚」というイベントで使用する「日選び」(擇日)において、「徳合」となる神煞は吉神となるシンボルであり、結婚というイベントに対して未来の吉祥となるために「徳合」となる日を使用します。そして、もし「月建」となる日を使用すれば、それは凶神であり、その結婚式は未来に対して暗雲となる象徴を刻んだという解釈になります。 ● 本講義の目的 本講義を通じて、毎年発行される中国語で書かれた『通書』を読解できる知識と技法について講義いたします。『通書』は術語となる専門用語が多いのですが、それらを一つ一つ正しく理解し現代で符合するものに置き換えて使用すれば、漢文や現代中国語ができなくても通書を正しく読解し、日々の生活に活かすことができます。 上記はごく一部ですが、通書に書かれた専門用語の日本語での意味です。『通書』に書かれた専門用語を正しく理解し、そしてそれが導き出される術理となる原理に精通すれば、『通書』を自在に使いこなすことができるようになります。アジア圏の縁起を担う共通言語としての『通書』を読解し、日々の生活、行動、イベントの日選びに役立ててみてはいかがでしょうか。 風水・擇日を学ぶのが始めてという人にもおすすめの初心者完全対応を目指した基礎講座から学べます。また、「オンライン講座」となりますので、インターネット環境とパソコンによってご自宅で受講できるシステムになっております。 |
擇日の基本概念から学びます。 ・五行総論 ・十干総論 ・十二地支総論 ・六十甲子総 ・十二長生総論 ・八卦総論 ・二十四山総論 ・十二月建と二十四節気 ・二十八宿総 ・紫白飛星と三元九運 ・暦─陰暦・陽暦・太陰太陽暦 |
【オンライン】擇日基礎講座 日 時:2024年3月16日(土) 10:00-18:00 受講料:30,000円(税別) *テキスト代全て込み 講 師:山道帰一 |
擇日の使用方法を学びます。 ・擇日用語 ・年家吉神 ・年家凶煞 ・月家吉神 ・月家凶煞 ・日家吉神 ・日家凶煞 ・時家吉神 ・時家凶煞 ・天元烏兔擇日法 |
【オンライン】擇日応用講座(2日間) 日 時:2024年3月23日(土)・20日(日) 10:00-18:00 受講料:80,000円(税別) *テキスト代全て込み 講 師:山道帰一 |
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